【ネーミング例】「水曜日のネコ」(ビールの商品名)

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事例・ビール「水曜日のネコ」から学ぶネーミングのコツ|ターゲットのイメージから創る

「水曜日のネコ」は長野県の地ビールメーカー「ヤッホーブルーイング」が製造販売するベルギースタイルのビールです(*1)。

水曜日のネコ(よなよなの里 エールビール醸造所<公式通販サイト>)

淡い色合いで、ホップの苦味が抑えられ、スッキリした飲み口。
コリアンダーやオレンジピールのフレーバーを加えた、スパイシーでフルーティーな風味の漂うビールです(*2)。

ベルジャンスタイルホワイトエール 「水曜日のネコ」 |ヤッホーブルーイング

ネーミングテク「ターゲットのイメージから創る」

「麦とホップ」「モルツ」「ラガー」「一番搾り」「淡麗」「のどごし生」…。

ビールや発泡酒の商品名と言うと、その原料や製法、味をイメージさせるものが多いですね。

これらと比べると、「水曜日のネコ」はかなり変わった商品名だということがわかります。
ビールの特徴を全く表していません。
「水曜日に仕込んだ、ネコを原料とするビール」ではありませんからね(笑)

製造販売元のヤッホーブルーイングは、このビールを女性、特に周囲に影響を与えるオピニオンリーダーの女性向けに売り出したいと考えていました。

そこで、ターゲットとなるオピニオンリーダーの女性をリサーチしたところ、

● お酒はフッと気持ちをリセットしたい時に飲む
● この層は「猫」が好き

という情報が集まってきました。

この情報から、「フッと気持ちをリセットしたい瞬間と言えば週の真ん中の水曜日」というコンセプトが生まれ、斬新な商品名「水曜日のネコ」が誕生したのです(*3)。

「変な名前」でヒットを連発するネーミング術 「インドの青鬼」「水曜日のネコ」が、ビール?|東洋経済オンライン

「水曜日のネコ」は商品のイメージからではなく、ターゲットのイメージから創られた商品名なのです。

「ターゲットのイメージから創る」のメリットは、ターゲットからの共感を集めやすいこと

ネーミングでは商品の特徴が伝わるような名前を創ることが一般的です。

その方が商品の良さやセールスポイントをアピールしやすいからです。

しかし、ビールはシーズンごとに新商品が発売されます。
多くの商品名が溢れかえっていて、どれも似たり寄ったりになってしまいがちです。
ビールの特徴を適切に表現する言葉は限られているのです。

特に、ヤッホーブルーイングは後発のビールメーカーです。

手をこまねいていると、キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ等、大手ビールメーカーの膨大な商品群の中に埋没して存在感を失ってしまいます。

そこで、ヤッホーブルーイングは大手ビールメーカーとは全く逆のアプローチ、即ち、商品の方向からではなく、ターゲットとなるユーザー層の方向からアプローチするネーミングを行ったのです。
このようなネーミングは印象的な商品名を作ることができ、他の商品名との差別化という点で効果的であるのは勿論、ターゲットからの共感を集めやすいというメリットがあります。
ターゲットが「自分のために作られたビール」というイメージを持てるからです。

「水曜日のネコ」はパッケージデザインでも、ビールには珍しいブサカワ系のネコのイラストを採用しています。
こんなところも仕事帰りの女性がコンビニで、ついつい手に取ってしまう要素となっているのかもしれません。

まとめ

「ターゲットのイメージから創る」ネーミングをするときは、その商品やサービスのターゲット層の趣味嗜好、ライフスタイル、行動パターンなどの情報を集めてみましょう。
そのリサーチ結果から、ターゲット層の特徴を洗い出し、商品コンセプトを作りましょう。

その商品コンセプトを端的に表現することができるワードを見つけられれば、今までにはないターゲットに響く商品名を作ることができるはずです。

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