事例・おんぶ紐「gran mocco(グランモッコ)」から学ぶネーミングのコツ|フランス語風・イタリア語風・スペイン語風の語感にする
「gran mocco(グランモッコ)」は、熊本・天草の伝統的なおんぶ紐「もっこ」をモダンでおしゃれなイメージにリメイクした商品です(*1)。
バックルがないシンプルな形状で、おんぶ紐の他、抱っこ紐、授乳ケープ、ブランケット、おむつ替えシート、チェアベルトと、マルチプルな用途に使うことができる優れものです。
また、赤ちゃんを背中の高い位置で固定する構造となっています。
このような構造は、重心の位置が高くなるため、赤ちゃんをおぶった時に軽く感じられます。
更には、赤ちゃんの顔とママの顔が近づくため、赤ちゃんもご機嫌になり、すぐに寝付いてくれるという効果もあるそうです(*2)。
(1)ネーミングテク「フランス語風・イタリア語風・スペイン語風にする」
「gran mocco(グランモッコ)」は、伝統的なおんぶ紐「もっこ」をアルファベット表記にした「mocco」と、英語で「おばあちゃん」を意味する「gran」を結合した造語です。
ニコニコしながら赤ちゃんを覗き込む、優しいおばあちゃんのイメージ。
商品の内容にマッチした、いい商品名です。
ここで、「gran mocco」の語感(音)に着目してみましょう。
どこかフランス語・イタリア語・スペイン語などのラテン系言語の雰囲気を感じませんか?
「グラン」というと、リュック・ベッソン監督の映画「グラン・ブルー(Le Grand Bleu)」を思い出す人も多いでしょう。
「グランド」ではなく「グラン」。
この響きがラテン系言語の雰囲気を醸し出しているのです。
「グラン(gran,grand)」はフランス語・イタリア語・スペイン語で「素晴らしい」。
意味内容もポジティブなので商品名にはうってつけです。
一方、「mocco」は元々、日本語です。
それなのに、何となくラテン系言語に聞こえてしまいます。
前段の「グラン」という響きに引っ張られるんでしょうね。
実際、「rosso(ロッソ)」(イタリア語で「赤」)、「passo(パッソ)」(イタリア語で「足音」)、「golaco(ゴラッソ)」(スペイン語で「すごい!」)といった発音の言葉もあるので、それっぽく聞こえるのかもしれません。
このように、「gran mocco(グランモッコ)」は、全体としてラテン系言語風の語となっています。
(2)「フランス語風・イタリア語風・スペイン語風にする」のメリットは、オシャレな感じ、モダンな印象を醸し出せること
日本でも英語はかなり一般的になってきました。
英語の表記、英語的な発音は、もはや見慣れてしまって、商品名やサービス名を英語にしただけでは、新鮮味を感じない、インパクトが薄い、個性を出し難い状況になっているのです。
このような状況だからこそ、英語とは違った独特の発音・響き、言い回しを持ったフランス語・イタリア語・スペイン語を持ってくることが有効というわけです。
商品名・サービス名をフランス語風・イタリア語風・スペイン語風にすると、
● オシャレ、洗練されている
● モダン、流行の最先端
● 明るく、華やか
といったイメージを醸し出すことができます。
ベタと言えばベタなやり方です。
でも、長年刷り込まれてきたイメージには贖えないのが人間です(笑)
(3)言語の持ち味と商品やサービスとのマッチングを考える
国や言語には持ち味があります。
オシャレ感を出したい・女性向けの商品ならフランス語やイタリア語。
パワーや躍動感を感じてもらいたい商品なら英語。
精密で信頼性を求められる商品ならドイツ語とかね。
どの言語が優れているということではなく、商品やサービスとのマッチングが大事なのです。
まとめ
商品やサービスに、オシャレ感やモダンなイメージを持たせたい時は、
● 表記(綴り)を「フランス語風・イタリア語風・スペイン語風」にする
● 読みを「フランス語風・イタリア語風・スペイン語風」に読ませる
という方法を試してみてください。
ここで、一つ頭に入れておかなければいけないのが、日本人は英語以外の外国語に弱いという点です。
フレンチやイタリアンのレストランで、長すぎる店名、読みにくい店名、発音が難しい店名を頻繁に見かけます。
オシャレ感を出せても、覚えにくいのでは本末転倒です。
この点は注意した方がいいですよ。
商品名やサービス名は覚えてもらってなんぼ。
読みやすさを第一に考えましょう。
文字数を減らして読みやすくするというのも一考です。
参考サイト
(*2)gran mocco 公式サイト
ネーミング|オススメの記事
ネーミングに関するオススメの記事はこちら!


.jpg)
.jpg)