「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」のネーミングがひどすぎる件|3個以上の言葉を羅列するな!
経済産業省とキャッシュレス推進協議会が、「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」というイベントを発表しました。
キャッシュレス決済の認知向上に向けたキャンペーンの第一弾だそうです。
しかしまぁ、どうしたらこんなセンスのかけらもない名前になるんでしょう…(苦笑)
今日は、この「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」のどこがまずいのか、ネーミングのポイントを押さえながら解説していきます。
(1)3個以上の言葉を羅列しない
このネーミングのまずい点、1点目は、3個以上の言葉の羅列です。
「プレミアム」、「キャッシュレス」、「フライデー」という3つの言葉を羅列しています。
このように、いくつかの言葉を並べると意味内容が伝わりにくくなります。
「プレミアム」が「キャッシュレス」にかかるのか、「フライデー」にかかるのかがよくわかりません。
この名前を作った人はこの名称が作られた経緯を知っています。
だから、意味内容を理解することもできるでしょう。
でも、部外者はそんな経緯は知りませんよね。
だから、これを聞かされても、「???」となってしまうわけです。
また、3個以上の言葉を羅列すると、必然的に名前が長くなります。
「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」。
促音や長音も含めると、文字数にして17文字もあります。
長い名前は覚えてもらえません。
覚えやすい文字数の目安は8文字以下くらいですかねぇ。
理想的なのは4-7文字くらい。
17文字はいかんせん多すぎるのです。
3個以上の言葉を羅列しないこと。
これがネーミングでは大事なのです。
(2)既成の言葉を分断しない
このネーミングのまずい点、2点目は、既成の言葉を分断してしまったことです。
間に「キャッシュレス」という言葉を割り込ませたために、既成の言葉「プレミアムフライデー」が「プレミアム」と「フライデー」に分断されてしまいました。
「プレミアムフライデー」は2017年(平成29年)にスタートした個人消費喚起キャンペーンです。
世間の人が月末の金曜日に、飲みに行ったり、カルチャースクールに通ったりしているかどうかは別にして、「プレミアムフライデー」という言葉自体はある程度、認知されています。
あぁ、それなのに!
「プレミアム」と「フライデー」に分断して元の意味をなさないものにしてしまいました。
それなら、「キャッシュレス・プレミアムフライデー」の方がまだマシ。
これなら、「プレミアムフライデー」はそのまま残ります。
そこに、「キャッシュレス」という要素が加わったのかな、と想像してもらうこともできそうです。
「プレミアム」と「フライデー」は「プレミアムフライデー」と一連に表記することで一つの意味内容を表します。
それを大した意味もないのに分断してはいけないのです。
(3)言葉に魂を宿らせる
このネーミングのまずい点、3点目は、言葉に力がないことです。
「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」。
プレミアムフライデーにキャッシュレス決済を使ってもらおうって意味なんでしょうねぇ。
いやはや、まるでひねりがありません。
「まんまやないかーい!」とツッコミを入れたくなります(苦笑)
ただ内容を示すワードを並べただけで面白みに欠けるんです。
言葉を練り込んでいない雑な感じが伝わってきます。
言葉にはその言葉の持つ力というものがあります。
言霊(ことだま)とでも言いますかね。
言葉って、練れば練るほど生命力が湧いてくるものなんですよ。
その言葉の力が人の心を動かし、ムーブメントを作っていくわけです。
逆に、言葉に力がなければ、世間の人はこのイベントに興味関心を示してくれません。
人の関心を惹きたいなら、言葉を練り込み、言葉に力を与えていく、言葉に魂を宿らせる。
そんな作業が必要なのです。
まとめ
以上、「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」のネーミングのダメな部分を挙げてきました。
これを反面教師にしてネーミングのコツを考えてみると、
(1)3個以上の言葉を羅列しない
(2)既成の言葉を分断しない
(3)言葉に魂を宿らせろ
というところでしょうか。
ネーミングで大事なのは文字数あたりの情報密度を上げることです。
短い言葉の中に、ギューっとエッセンスを詰め込む。
そのために頭を絞るということです。
パッと良い名前が降ってくることなんてありません。
頭を絞って良い名前を絞り出しましょう!
ネーミングに興味が出てきた人へ
ネーミングに興味が出てきた方はぜひ以下の2つの記事も読んでみてください。きっと、気付きがあるはずです。
商品価値を高める! 取引先への「ネーミング支援」|「近代セールス」2021年11月1日号掲載記事

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