【ネーミング例】「PayPay銀行」(会社名・屋号)

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目次

会社名のネーミング|はじめに

昨日、こんなニュースが入ってきました。

「衝撃」「なんかダサい」 ジャパンネット銀行が「PayPay銀行」に名称変更、SNSの反応は? |ねとらぼおかね

この記事では、「ジャパンネット銀行」が「PayPay銀行」に名称変更したこと、それに対するSNS上での反応が紹介されています。

実際、Twitterを覗いてみると、

「ダサい」「チープ」「銀行変えたい」「恥ずかしい」…
と、改名の評判はあまり芳しくありません(苦笑)

では、この「PayPay銀行」を反面教師に、会社名(屋号)のネーミングについて学んでいきましょう!

「PayPay銀行」から学びたい、会社名(屋号)をネーミングする際のポイントは以下の3つです。

商品・サービスにマッチしたネーミングをする
ユーザーのニーズに沿ったネーミングをする
大きなブランドを作りたいのであれば、業種業態に縛られないワードを選ぶ

会社名のネーミング①|商品・サービスにマッチしたネーミングをする

会社名のネーミング、1つ目のポイントは、

提供する商品・サービスにマッチしたネーミングをする

ということです。

提供する商品・サービスによってふさわしいネーミングは異なる

からです。

以前、ヤマダは「PayPay」のネーミングについて、

破裂音×音の繰り返しの効果的に使っていて良いネーミング

と評したことがあります。

ネーミング・ノウ
【ネーミング例】「PayPay」(決済サービスのサービス名) 事例・決済サービス「PayPay」から学ぶネーミングのコツ|語頭に破裂音×音の繰り返し モバイル決済サービスの「PayPay」。「100億円キャンペーン」や「やたら当たるくじ」...

ネーミングとしては成功の部類に入るでしょう。

但し、それはあくまで、「スマホ決済サービス」の名称としての話。
「銀行」のネーミングとして良いかどうかは別の話なんです。

「スマホ決済サービス」のユーザーは個人がメインです。

  • 手軽さ
  • 親近感

を訴えるネーミングがはまります。

一方、「銀行」のユーザーには法人・企業も含まれます。
そこでは、

  • 信頼性
  • 安心感

といったイメージの方がより重要となるわけです。

Twitterでも、

取引先に「メインバンクは『PayPay銀行』です。」って言うのは恥ずかしい…

なんて声が出ていました(笑)

銀行の会社名(銀行名)は、会社間の取引の場でも使われます。
ここに、「PayPay銀行」という会社名が馴染むか?という観点での検討が必要です。

スマホ決済サービスの名称としては良い方向に出た「軽さ」。
これが、銀行の名称としては、

  • 軽薄な感じ
  • どっしりした安定感がない

というようにネガティブなイメージで捉えられてしまうわけです。

同じお金を扱うサービスであっても、決済サービスと銀行ではユーザー層や求められる役割が全く違います。

そうであれば、

提供する商品・サービス(銀行業)のユーザー層や求められる役割にマッチした社名にする

ことが大事なんです。

会社名のネーミング②|ユーザーのニーズに沿ったネーミングをする

会社名のネーミング、2つ目のポイントは、

ユーザーのニーズに沿ったネーミングをする

ということです。

会社名をユーザーのニーズや期待に沿うものにすることで、

ユーザーに親しまれ、また、見込み客の関心を惹くことができる

からです。

「PayPay銀行」の元の会社名は「ジャパンネット銀行」。

日本で初のネット銀行です。
お堅い銀行業界では異色の存在。

ネーミングもオーソドックスで面白みはありませんが正統派。

  • 最先端
  • 革新性
  • スマート

が表現された会社名となっています。

これらに惹かれて、「ジャパンネット銀行」のユーザーとなった人も多いはずです。
しかし、「PayPay銀行」という名称からは、これらのイメージは皆無ですよね…。

たとえ銀行の中身が変わっていなくても、会社名の与えるインパクトは絶大です。

これでは、今までのユーザーはがっかり、先進的なものを求めている見込み客の興味も惹けないでしょう。

そうであれば、

ユーザーや見込み客のニーズ(最先端、革新性、スマート)に沿った社名にする

ことが大事なんです。

会社名のネーミング③|大きなブランドを作りたいのであれば、業種業態に縛られないワードを選ぶ

会社名のネーミング、3つ目のポイントは、

大きなブランドを作りたいのであれば、業種業態に縛られないワードを選ぶ

ということです。

業種業態に縛られないワードを選ぶことで、

特定の業種業態のイメージに縛られず、多種多様な商品・サービスでそのワードを使うことができる

からです。

複数の商品・サービスを包括する大きなブランドを作ると、

  • ユーザーからの信用を一つのブランドに集約することができる
  • ブランド力が分散しない、

というメリットがあります。

しかし、前の項でも説明したように、

  • 商品・サービスによってふさわしいネーミングは違う
  • ネーミングに表すべきユーザーのニーズも異なる

わけです。

そうすると、個々の商品やサービスにジャストフィットさせた社名は大きなブランドのネーミングとしては使いにくいわけです。

大きなブランドを作りたいのであれば、業種業態に縛られないワード、例えば、

多数の商品・サービスを包括するコンセプト、提供価値、会社の理念等を表すワードを使う

というのも一考です。

そういう意味では、「PayPay銀行」よりも「楽天銀行」の方が特定の業種業態のイメージは薄いかもしれません。

「楽天」というと、「楽天市場」のイメージが強いですが、この「楽天」は、

  • 様々な商品・サービスが活発に取引される場である「楽市楽座」
  • 明るく前向きな「楽天」

に由来するネーミングです。

よくある質問|楽天株式会社

一方、「PayPay」は、決済サービスの「支払う(Pay)」に由来するネーミング。
これに比べると、「楽天」の方が大きなブランドを作るには向いているワードと言えそうです。

会社名のネーミング|まとめ

「PayPay銀行」から学びたい、会社名ネーミングのポイントは、

商品・サービスにマッチしたネーミングをする
ユーザーのニーズに沿ったネーミングをする
大きなブランドを作りたいのであれば、業種業態に縛られないワードを選ぶ

でした。

一つの商品・サービスでうまくいったとしても、そのネーミングはオールマイティではありません。
特に多数の商品・サービスを含む大きなブランドを作りたいときは要注意ですよ!

ネーミングに興味が出てきた人へ

ネーミングに興味が出てきた方はぜひ以下の記事も読んでみてください。きっと、気付きがあるはずです。

ネーミングのコツ。センスの良い商品名を作るための5つのポイント

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