ネーミング作成の裏側、全部見せます!|事例「ONE-AGILE」~真のアジャイル開発を可能とするアジャイルコーチング~

ネーミングを作成した舞台裏を紹介し、これからネーミングに取り組む方に参考にしてもらおう。そんな意図で「ネーミング作成の裏側、全部見せます!」という記事を執筆しました。3回シリーズでお届けしています。第3回、ラストを飾るのはアジャイルコーチ・松永 広明さんが提供するアジャイルコーチングサービスの名称「ONE-AGILE」についてです。

目次

ネーミング作成ご依頼 松永 広明さんについて

松永さんはアジャイルコーチ。

「アジャイル(agile)」とは、機敏、すばしっこいという意味です。スポーツ選手について、「アジリティ(Agility:俊敏性・敏捷性))」という言葉が使われますね。あれと意味は同じです。

「アジャイル」は「アジャイル開発」という言葉でよく使われます。製品開発、特にシステムやソフトウェアの分野において、製品開発を迅速化するための手法・仕組みを指す際に使われる言葉なのです。

松永さんは製品開発を迅速に行うための考え方や仕組みづくりのコーチングをしています。ただ、松永さんに言わせますと、

  • 我流・自己流のアジャイル
  • 形だけを真似した(中身の伴わない)アジャイル
  • 間違った解釈に基づくアジャイル

が横行しているとのこと。

これらを撲滅し、真のアジャイルを伝えていきたい、それを端的に表現できて、一発で目を引くネーミングを考えて欲しい、これが松永さんからのオーダーです。

が、しかし…。今回、作成した3件のネーミングの中で最も苦労したのが、松永さんのネーミングでした。僕自身がコンピュータやITに詳しくない。「アジャイル」と言われてもピンと来ない。そんな中からのスタートでした。

ネーミングの現状分析

松永さんはいくつかの肩書、キャッチフレーズで活動されています。

例えば、

  1. アジャイルは共通理解が9割!
  2. なんちゃってアジャイルをこよなく憎むアジャイルコーチ
  3. 七色のメタファー使い

などです。

これを僕の視点で分析すると、以下のような結果になりました。

新鮮味がない

①はヒット本「伝え方が9割」のタイトルを模したキャッチフレーズ。使われ過ぎていて、みんな聞き飽きているこすり過ぎ。

自己紹介にすぎない

②は「なんちゃって」、「こよなく憎む」などに工夫は見られる。但し、説明の範疇を出ないそして、顧客サイドのメリット・ベネフィット(松永さんが何をしてくれるのか)が見えない

意味不明

③はいわゆる「キラキラネーム」。言葉自体にはインパクトがある。一見、興味を惹くようにも見える。ただし、中身がわからない特に、「メタファー(隠喩)」。このワードを見て、正確な意味を理解することができる人はごく少数。松永さんのサービスを象徴しているワードとも言えない


以上のように、①、②は凡庸でインパクトに欠ける、③はインパクトはあるけれども、松永さんのサービス内容が伝わらないという判断です。

ネーミング作成

インパクトがあって、松永さんのサービスを象徴的に表せるワードを探す。ここが今回の目指すべきゴールでした。



ネーミングは3-8音程度の極めて短いワードです。その中で全てを説明するのは無理なんです。

だから、ネーミング作成にあたっては、

  • 商品やサービスに興味や関心を持ってもらえればOKと割り切る
  • 商品やサービスの特徴を端的・象徴的(シンボリック)に表す
  • 内容ではなく、イメージで伝える

ということを意識しました。

また、アジャイルのことを知るために、松永さんの活動内容や書かれた文章を入念にリサーチしました。ここに松永さんの思いや考え方が現れているのではないかと考えたからです。

それらを見て感じたのは、アジャイルでは「共通理解」が大事だ、ということでした。また、「チームスポーツ」を例にした説明も多く見られました。

アジャイル開発を推進するためには、チームスポーツで勝利を目指す時と同様に、チーム内の共通理解が重要

ここを松永さんは大事にしている。逆に言えば、巷のアジャイルコンサルにはこの部分が欠けている。これらが松永さんのサービスの特徴であると理解しました。そうであれば、この部分を人目を惹くようにシンボリックに表現すれば良いということになります。

ここで、注目したのが「チームスポーツ」です。「チームスポーツ」になぞらえたワードであればイメージが伝わりやすいし、見込み客の方にも興味を持ってもらえるのではないかと考えました。

チームスポーツにも色々ありますよね。野球、サッカー、バスケット、バレー…。今回のネーミングでモチーフにしたのがラグビーです。アジャイルの分野ではチームワークを重視した「スクラム」という手法があります。アジャイルに取り組む人であれば、他のチームスポーツよりラグビーで使われている用語の方が馴染みやすいだろうと仮説を立てたわけです。

ここで、僕の頭の中に降りてきたのが、ラグビー日本代表のスローガン、流行語大賞にも選ばれた「ONE TEAM」でした。共通理解とチームワークを重視する松永さんの思想ともイメージが合致する。「これだ!」と確信を得てできあがったのが、今回作成した「ONE-AGILE(ワン・アジャイル)」というネーミングです。

ラグビー日本代表の「ONE TEAM」をイメージさせ、かつ、アジャイル関連のサービスであることがひと目で分かるネーミングとなったと自負しています。

今回のネーミングのポイントは、

  • アジャイル関連のサービスであることを明確化する
  • 松永さんのサービスの特徴を入れ込む
  • その特徴を皆が知っている言葉で表す

です。


安積さんにイメージイラストも作って頂きました。

ONE-AGILE|ネーミング&イラスト
ONE-AGILE|ネーミング&イラスト

ラグビーをモチーフに、チームワークや共通理解をイメージさせる素敵なイラストになっています。

アジャイルという概念は難しく、専門的です。ただ、その分野の人に「アジャイル」という言葉自体は浸透している。そうであれば、そのワードはあえて残し(別のワードに噛み砕かず)、アジャイルに関連したサービスであることが伝わればよい。そう割り切ったというのも今回のネーミングのポイントです。

松永さんにアジャイルのコーチングや研修を依頼するのは一般の消費者ではなく、製品開発の専門家でアジャイルに興味を持っている人です。その人たちは「アジャイル」という語は既に知っているわけです。そうであれば、むしろ「アジャイル」という言葉があった方がよい。

このように、ネーミングでは見込み客(ターゲット)の属性を考慮することも大事なんです。

依頼者・松永さんのご感想

松永さんからは次のようなコメントを頂きました。

山田さん、
ネーミング案ありがとうございます!!
そしてこれは、、、、、、∑d(゚∀゚d)イカス!!

なるほど確かに私は共通理解とか共同作業とか、チームスポーツだとかよく言いますね。自己紹介にも書いてありますし。

これは文句なく「採用」!です!ありがとうございます。シンプルで伝わりやすいネーミングだと思います!

松永さんはSNSのLinkedIn(リンクトイン)にも喜びの声を投稿してくれました。

この記事を書いた人
弁理士・山田 龍也
クロスリンク特許事務所 代表弁理士。知財活用コンサルタント・ネーミングプロデューサーも務める。 中小製造業によくある「良い商品なのに売れない」のお悩みをローテク製品の特許取得、知的財産(特許・商標)を活用したブランドづくり、商品名のネーミングで解決している。
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